子どもの自信を育む

子どもが自信を失うタイミング

 そろばんも勉強も子供たちに本当の実力をつけてもらう為には、子供たちに自信を持たせることが大切です。しかし、学習の進め方を間違うと自信を持つどころか、逆に自信を失ってしまい、悪循環に陥ってしまいます。

 このブログはそろばん関係のものなので、珠算や珠算式暗算で説明しますが、結論から言えば、できない問題が出てきた時に、そのレベルの問題だけに取り組むと自信を失う原因になりがちです。あるいは、先生が見てたら答えは合うが、自分自身の力で正答を導き出せないレベルで先に進めると子供たちは一気に自信を失ってしまいます。

 これを一例を挙げて説明したいと思います。

珠算での例

 さすがにブログで全てを説明することは無理ですが、珠算未経験の方にもわかるように初歩レベルの例で説明します。

 珠算では以下の問題は全て難しさが違います。

(1)2+2=
(2)1+5=
(3)3+2=
(4)7+5=
(5)5+6=

※基本的に上から下に行くにしたがって難しくなります。

 例えば(5)のレベルで躓く生徒が一定数います。この時に「あ、このレベルができないんだな」と考えて、このレベルの問題ばかり重点的に練習させたくなります。しかし、これが子供たちの自信を失うきっかけになるケースが多いのです。

 最初はもちろん、このレベルのやり方をしっかり指導します。きちんと理解し、自分でできるレベルになる子は問題ありません。しかし、繰り返し指導をしても、なかなか習得できない場合に、(5)のレベルの問題の練習ばかりだと、子供たちにとっては、自分ができない(難しい)問題にばかり取り組むことになります。

そうすると、

思考が停止
 ↓
自分にできる問題まで、できない(と思い込む)
 ↓
益々自信を喪失

・・・と悪循環に陥ります。

 こうなると、(1)や(2)のレベルまで、悪い意味で勘違いをして、難しく感じてしまい、できなくなってしまいます

では、どうすれば良いか?

できる問題に取り組むことで自信を維持

 こういう場合には、(5)のレベルの問題だけを集中的にやらせるよりも、(1)とか(2)とか(3)とかのレベルの問題を散りばめながら10問や20問練習をさせると、自分にもできる問題があるということを感じながら練習に取り組みます。
 そうすれば、まだ習得できていない(5)の問題もとりあえず自分で考えてやってみようとします。あやふやだったり、自信が無くても、とりあえず自分で頑張って取り組んで答えを書こうとします。自分にとって、まだ自信がなくあやふやな問題も良い意味で勘違いをして、答えを書いてくれることが増えます。これで答えが合えば自信になりますし、わからなかったとしても、自分で解けた問題があるだけでマイナス思考にはなりません。

 表面的にはとてもわかりにくく、地味なことなので、なかなかこうしたことの大切さに気付けないことが多いのですが、こうした積み重ねが子供の自信を育み、思考力を鍛え、粘り強く取り組む力を身につけていくことになります。そろばんも勉強も、学習の進め方というのは、極めて重要な要素なのです。